【MLB】2016年シーズン賞レースの行方(2) MVP&サイ・ヤング賞ノミネート外の選手にスポットを当てる。ナショナル・リーグ編
2016/11/17
さて、ワールドシリーズが終了して幾日か経ちました。カブスファンの皆様おめでとうございます。すでに話題は「MVPとサイ・ヤング賞は誰が獲るのか」で持ちきり……ではないですね。トランプ大統領爆誕に全てを持っていかれました。まぁ、彼が大統領になってもMLBは変わらず続くでしょうから、気にせず参りましょう。
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上記記事にある通り、すでにMVP、サイ・ヤング賞、新人賞の最終候補が出揃っています。
最終候補一覧(ナショナル・リーグ)
まずはナショナル・リーグの各賞最終候補をまとめてみます。尚、アメリカン・リーグについてはまた別の記事で紹介する予定ですのであしからず。
ナショナル・リーグMVP最終候補
- クリス・ブライアント(CHC)
- ダニエル・マーフィー(WSH)
- コリー・シーガー(LAD)
ナショナル・リーグサイ・ヤング賞最終候補
- カイル・ヘンドリックス(CHC)
- ジョン・レスター(CHC)
- マックス・シャーザー(WSH)
ナショナル・リーグ新人賞最終候補
- 前田健太(LAD)
- コリー・シーガー(LAD)
- トレア・ターナー(WSH)
地区優勝したチームから、活躍した選手が順当に選ばれました。特に新人賞は極めて順当ですね。マエケンが候補入りしたのは喜ばしいことですが、シーガーの満票受賞が既定路線でしょう。
MVPとサイ・ヤング賞についても特に異論のない面々ですが、「あれ、なんであの人が最終候補に入ってないの?」という選手もいるような気がしてなりません。
そういうわけで、ノミネートには至らなかったものの、MVP級、あるいはサイ・ヤング賞級の活躍をした選手にスポットを当ててみたいと思います。
ノーラン・アレナド(COR)
【2016年レギュラーシーズン成績】
618打数・182安打・41本塁打・133打点・打率.294・OPS.932
今シーズンも堂々たる成績を残した「なんでMVP最終候補にノミネートされてないの?」選手筆頭。昨シーズンから2年連続の二冠王(本塁打・打点)とシルバースラッガー賞を獲得している強打者です。三塁守備のクオリティも素晴らしく、メジャー定着以来4年連続のゴールドグラブ賞を記録しています。
さて、リーグを代表するスラッガーであるアレナドが、なぜMVP最終候補に入らなかったのか。その理由のひとつを示すデータがあります。
■2016年シーズン ホーム/アウェイ成績一覧
スタジアム区分 | ホーム | アウェイ |
---|---|---|
試合数 | 79 | 81 |
打率 | .312 | .277 |
安打 | 97 | 85 |
本塁打 | 25 | 16 |
打点 | 85 | 48 |
四球 | 38 | 30 |
出塁率 | .384 | .340 |
長打率 | .646 | .492 |
OPS | 1.030 | .832 |
出典:MLB.com
上記の表を見て頂くと、ホームとアウェイとの成績にかなりの開きがあることがわかります。いわゆる「クアーズ補正」というヤツですね。
コロラド・ロッキーズの本拠地であるクアーズ・フィールドは標高1マイル(約1,600メートル)の高地にあり、気圧の関係で打球が飛びやすい「打者天国」です。ロッキーズに首位打者が多い理由(過去10年で5人・過去20年で9人)がこれで、他のチームでそこそこの成績だった選手がロッキーズに移るとウソのように打ち始めたり、ロッキーズで堂々たる成績を残していた選手が他のチームに移ると散々な結果に終わったりということが良く見られます。
上記のデータにおいて、特に本塁打・打点・長打率に大きな差が見られることから、アレナドもクアーズ・フィールドの恩恵を受けている選手とされています。
ただ、こんなデータもあります。
■2015年シーズン/2016年シーズン アウェイ成績比較
年度 | 2015年 | 2016年 |
---|---|---|
試合数 | 79 | 81 |
打率 | .258 | .277 |
安打 | 79 | 85 |
本塁打 | 22 | 16 |
打点 | 56 | 48 |
四球 | 17 | 30 |
出塁率 | .296 | .340 |
長打率 | .539 | .492 |
OPS | .835 | .832 |
出典:MLB.com
見ての通り、いくつかの指標においては昨年に比べてアウェイでの打撃成績が上向いています。来シーズン以降、アウェイでの成績が更なる向上を見せれば、アレナドのMVP受賞は現実のものとなるでしょう。
アンソニー・リゾ
【2016年レギュラーシーズン成績】
583打数・170安打・32本塁打・109打点・打率.292・OPS.929
108年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げたシカゴ・カブスの主力打者であり、チームリーダーです。3年連続30本塁打以上の打棒もさることながら、一塁守備にも定評があり、今シーズンは初のゴールドグラブ賞に加え、フィールディング・バイブル・アウォードも受賞しています。
今シーズンのMVP候補筆頭であるクリス・ブライアントとチームメイトであり、似たような成績を挙げています。
■2016年シーズン 両選手成績比較
選手名 | A.リゾ | C.ブライアント |
---|---|---|
打率 | .292 | .292 |
安打 | 170 | 176 |
本塁打 | 32 | 39 |
打点 | 109 | 102 |
四死球 | 90 | 93 |
出塁率 | .385 | .385 |
長打率 | .544 | .554 |
OPS | .929 | .939 |
WAR | 5.74 | 7.67 |
出典:MLB.com・ESPN
MVP候補筆頭であるブライアントと比べても遜色ない成績を収めているリゾが候補に挙げられていないのはWARの差であると言えるのでしょうが、カブスがワールドシリーズを制覇するチームになったのは、ひとえにリゾをコアとしたチーム編成が功を奏したからではないでしょうか。
2011年秋、カブスの編成責任者に就任したセオ・エプスタインがまず始めに手掛けたことは、パドレスでくすぶっていたリゾの獲得でした。
リゾのメジャーリーグでのキャリアは、2007年にレッドソックスから指名されたことで始まっていますが、当時のレッドソックスで編成責任者を務めていたのが他ならぬエプスタインでした。言うなれば、リゾはエプスタインの眼鏡にかなう人物だったのです。エプスタインは将来性や人格に優れたリゾをコアとし、それを補強するべく有望株の獲得や本格派投手の招聘を行うことにより、カブスを常勝軍団とする戦略を選びました。
リゾを打の要に据えるというエプスタインの作戦は見事に的中。カブスでリゾの才能は開花し、押しも押されぬ中心選手に成長しました。有望株であるクリス・ブライアントは期待以上の成長を遂げ、招聘した投手はことごとく好成績を収めました。
ワールドシリーズ制覇に至る雌伏の数シーズンを支え続けたリゾは、リーグMVPに推されなくとも、ここ数年のチームにとっては間違いなくMVPと言えるでしょう。
フレディ・フリーマン
【2016年レギュラーシーズン成績】
693打数・178安打・34本塁打・91打点・打率.302・OPS.968
チッパー・ジョーンズと入れ替わるように現れた、アトランタ・ブレーブスの中心選手です。今シーズンは自身初となる30本塁打以上を叩き出したことに加え、30試合連続安打と48試合連続出塁を記録するなど、印象に残るシーズンとなりました。
地区最下位に沈むブレーブスでベストプレーヤーとしてのシーズンを送ったものの、MVPには若干届かない成績であることは否めません。来シーズン以降のフリーマンに求められるのは、チームの「コア」として遜色のない更なるレベルアップです。
再建を必要とするチームは躊躇なく中心選手を放出し、その見返りとしてトッププロスペクトや実績のある選手をかき集める傾向があります。ただし、本当の意味で中心となる選手を放出することはせず、その選手を核としたチーム編成を行うことが多いように感じます。
ブレーブスのフロントはチーム再建のためにアンドレルトン・シモンズやクレイグ・キンブレルを放出しても、フリーマンを放出することはしませんでした。そういった意味では、フリーマンはただの中心選手ではなく、文字通りの「コア」です。今シーズンのMLBを制覇したカブスがアンソニー・リゾを打の要に据えたように、ブレーブスのフロントはフリーマンを要としたチーム編成を行っています。
今シーズン同様、フリーマンをコアに据えた上での新たなチーム編成は、なかなか面白い動きを見せています。
2人合わせて85歳!? ブレーブスが驚きの先発補強(ベースボールキング) - Yahoo!ニュース
新たにトレードで獲得したバートロ・コローンとR.A.ディッキーが期待通りの活躍を挙げ、今シーズン中盤に獲得し、プチ復活を果たしたマット・ケンプが来シーズンも好調を維持し、何度も好投したものの打線の援護に恵まれなかったフリオ・テヘランが勝ち星に恵まれれば、来シーズンのブレーブスは台風の目になり得ます。
ホセ・フェルナンデス
【2016年レギュラーシーズン成績】
29試合・182 1/3投球回・16勝8敗・253奪三振・防御率2.86
シーズン中の9月25日(現地時間)、モーターボートの事故によりこの世を去ったフロリダ・マーリンズの若きエース。
追悼試合でディー・ゴードンが放った先頭打者ホームランに感銘を受け、暑苦しい記事を書いたのがつい昨日のことのようです。
トミー・ジョン手術明けのフルシーズンとなった今シーズンは、エースピッチャーとして優れた成績を残していました。フェルナンデス亡き今、仮定の話をするのはなんとも心苦しいのですが、9月25日からシーズン終了まで恐らく1〜2試合。200投球回には届かなくとも、登板さえしていれば間違いなくサイ・ヤング賞の有力候補になったことでしょう。
一時はサイ・ヤング賞の候補に挙げるべきだという声も聞こえていましたが、徐々に明らかになった彼の死に至る真相があまり印象の良いものではなかったことから、そういった声は次第に聞こえなくなって行きました。
事故死のフェルナンデスからコカインとアルコールを検出、検視局が発表
私としてもモヤモヤが残る、後味の悪い結末になってしまいました。
まとめ
MVP級、あるいはサイ・ヤング賞級の活躍をした選手は他にも大勢いますが、今回は数人に絞りました。最後に、書くかどうか迷って結局書かなかった選手を挙げてこの記事を締めたいと思います。
- ジョーイ・ボット → 毎年すごい成績だけど、いかんせん地味。
- ジーン・セグラ → 最後まで書くかどうか迷ったひとり。今年は確変っぽいんだよねぇ……
- DJ・ルメイユ→ 首位打者を獲っただけじゃMVPにはなれないんだよなぁ。クアーズ補正もありそうだし。
まだ書く気が残っているうちに、アメリカン・リーグ編も仕上げてしまわなければ。
【H28.11.13追記】
アメリカン・リーグ編、仕上げました。
【MLB】2016年シーズン賞レースの行方(3) MVP&サイ・ヤング賞ノミネート外の選手にスポットを当てる。アメリカン・リーグ編
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